2017年2月23日木曜日

USCMA(米国公認管理会計士)を取得した後はどうする?

米国公認管理会計士を取得してからまもなく3年ほどが経過しようとしています。

今まで自分の仕事についてほとんど話してこなかったのですが、ちょっと私の目標についての話を聞いてほしいと思います。

私は、外資系企業で事業管理(CFO傘下の組織に所属)の仕事に携わっています。フィナンシャル・アナリスト、とかコマーシャル・サポートとか、呼び方は色々とあるみたいですが、いわゆる事業部の営業利益、経費を管理する役割を担っているわけです。

フィナンシャル・アナリストという仕事は、とても魅力的な仕事です。
経理とも違いますし、いわゆる金融系の証券アナリストとも違います。

証券アナリストは金融(市場)を見ているわけですが、フィナンシャル・アナリストは金融(市場)は基本的に見ていません。外資系企業の場合には、外貨建てでのレポーティング、もしくは外貨建てでの仕入れ・販売がありますので、為替相場については少々関わることになりますが、為替相場がどう動くのか、という点においてのプロフェッショナルではありません。

フィナンシャル・アナリストについて書いていくと長くなりますので、それは次の機会に詳しく書くとして、今回は将来的にコントローラーになるための道筋について書いてみます。

転職してから、まだまだ地を這うような仕事が多いです。

そんな中でも、前職ではなかなか得られなかったスキルを二つ身に着けました。
これは小さい組織ならでは、と言えるかもしれません。

・キャッシュフロー管理
・契約(コントラクト)レビュー

特に、契約書のレビューは大変面白く、読み込んでいくにつれて段々と目が契約書の条文に慣れていきます。

仕事はこのように少しずつですが前に進んでいます。
一方で、家に帰ってからは、あまり勉強をしなくなってしまい、間もなく春という現在、今一度何かを始めてみよう、と思っているのです。

コントローラーとしてのスキルアップのために必要なことは何か?

いろいろと考えてみました。
転職エージェントの募集欄で上記のような仕事を検索すると、求められるスキルに多いのが、

①営業経費管理、予算編成、フォーキャスティングなどの実務経験
②高度な会計・経理知識
③Excel/Access/PowerPoint等の習熟
④SAP等ERP Systemに対する知識
⑤ビジネスレベルの英語力

と言ったところです。

①はまさに仕事でそれをやっているのでOK、③と④も一応大丈夫そう、⑤は発展途上だがこれからも頑張る気概である、、、とすると、困るのは②ですね。高度な会計・経理知識って何だ!!

そこで、高い役職(CFO候補や経理部長候補)の募集要項を見てみると、これに次のようなものが追加されます。

⑥連結決算、子会社関連会社の管理経験
⑦税務
⑧内部統制
⑨資金調達・財務経験

なるほど、、、いわゆる連結と税務が重要ってことでしょうかね。しかも、CFO候補や経理部長候補の募集要項には、役立つ資格として、公認会計士、税理士、USCPAの三つが良く登場しています。

やはり、、と思ったが、結局難関資格が必要なのですね。。。ジュニア・シニアアナリストレベルであればエクセルと簡単な簿記、そして業務知識があれば仕事になるが、偉くなりたかったらもっと多くの知識と経験を有している必要があるようです。

しかし、、よく考えてみよう。

30歳を超えた理系出身の私が、仕事をしながら勉強する、、。
それがどれだけ難しいことなのか、、、。

難関資格と言われている公認会計士や税理士は、合格率10%ほどで、かなり多くの時間を勉強に費やすことになる。下手したら5年間くらいのプライベートの時間を犠牲にすることになる。税理士に至っては、理系の私には受験資格すらないんです(涙)。これらを勉強するのは、費用(&時間)対効果が低すぎるだろう。。。

ではUSCPAはどうだろう。これは外資系で実務経験がある私にとってはおそらく意味を持つ資格なのだが、なんとこれも受験資格がない!!(涙涙)。

これを受験するには経済や法律、商学部の単位が必要で、それをスクールで取得してから、なんてことになると、100万円じゃすまないお金がかかってしまいます。

もちろんMBAとか、会計系大学院に行って単位を取得してから、卒業後のUSCPAという戦略も考えましたが、、、何か目指していることと違う気がします。

私は事業管理をしたくてスキルアップしたいのに、勉強に熱中するあまり、面白い事業が明日にでもLaunchするかもしれないのに参画できず、、なんてことになったら本末転倒ですよね。

そういうわけで、独学で簿記検定1級の商業簿記・会計学の勉強を一通りやってみましたが。。。
どうも消化不良でした。

経理コントローラーまでの道は長く険しい。。。

2017年2月19日日曜日

USCMA(米国公認管理会計士)は独学で合格可能なのか?

米国公認管理会計士という資格に縁あって出会った皆様。
よくぞ見つけてくれました、という資格試験です(笑)

そのくらい、日本人にあまり馴染みのない試験です。

書店の資格コーナーで、全資格の載っている辞書みたいな本がありますが、その中でも、米国公認会計士(USCPA)はあれど、管理会計士の資格はなかなかお目にかかれないのではないでしょうか、、

私は大学生の時に、なんとなく購入した資格本の中でこの資格に出会いました。
とはいえ、理系の私は、最初は技術系資格(技術士とか環境計量士)を探す目的で購入したわけで、まさか米国系資格のコーナーを開くことになるとは思いませんでしたが、、(笑)

いずれにせよ、情報が非常に限られた試験であることは間違いありません
また、試験制度も当初の4パート制から2パート制へと移行しており、日々のアップデートにも対応しなければなりません。

では、スクール講座が出てきた今、果たして独学で取得するのが効率的なのでしょうか?
ここでは、簿記の知識、そして英語力、の二つの観点で場合分けしてお伝えしていこうと思います。

①簿記に馴染みがあり(日商簿記2.3級レベル)、英語に苦手意識がない

USCPAなど他の米国系資格を既に取得済み(学習済み)の方もここに該当します。
この方々は、独学で十分です。
スクールに行く手間とコストを考えると、好きな場所(家とかカフェとか)でテキストを読み込んで理解し、問題をひたすら解くことで合格レベルまで到達します。

TOEICのreadingが300点程度あれば、英語のテキストを独力で理解できますし、教えてもらうより、効率よく学習できます。

②簿記に馴染みがないが、英語に苦手意識がない

外資系にいて、急遽経理部に興味を持った方や、銀行から事業会社のファイナンスに転職したい、といった方々でしょうか。

この方々は、二つの道があります。
一つ目は、簿記3級を学習して、会計基礎を身につけてから、USCMAのテキストに入るという方法。

基本的にUSCMAは、簿記の高度な力は求められませんが、会計はさっぱり、という状態ですと厳しいかもしれません。簿記3級は、適性が合えば2週間、そうでなくても1ヶ月で理解しきれる内容ですので、これを一つのきっかけとして、USCMAのテキストに進んでもらうのが良いと思います。

余談ですが、外資系投資銀行で活躍して、30歳前後でヴァイスプレジデントまで登った私の知人の言うには、外資系投資銀行(いわゆる投資意思決定、キャッシュフローからのNPV計算、財務の最適化といったファイナンスの概念が求められる業界)では、簿記は3級あれば十とのこと。
USCPAは、スタートラインとして簿記2級程度以上ないと厳しいと言えますが、ファイナンスを生業とする仕事(USCMAは管理会計の資格ですが、投資意思決定評価等の概念がバンバン登場します)では、簿記3級をお持ちならば、スタートラインでは十分と言えます。

以上余談でしたが、USCMAをスタートするにあたり、
損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の概念については把握した上で臨むのが良いと思います。

どうしても簿記3級を独習するのは、嫌だ!
という方には、もう一つの方法、スクールに行く、という方法です。
某大手スクールの講座内容を見る限り、簿記初習者を想定として英文会計の基礎からステップアップしてくれるので、簿記に馴染みがない方でもチャレンジできます。

ここから先は、各スクールの管轄ですので、私が意見を述べるのは控えさせていただきますが、私自身、独学で十分合格ラインに達しましたので、簿記3級からのステップアップを検討いただけると良いと思います。

③英語が苦手な方

テキストを購入される前に、自分がこの資格を取って何をするのか、を繰り返し考えてみてください
USCMAは、外資系企業であればそれなりに評価されますが、日系企業ではやはり簿記、公認会計士の方が威力があります。
海外との取引がある大企業においてさえ、USCMAという資格の価値(取得にかかるコストと、そのリターンの割合)が十分実りあるものになるかは疑問です。

ですので、英語で仕事をすることに興味がない方には、向かない資格だと思います。

ただし、英語が苦手だが、将来的に外資系の経理に入りたいんだ、という方がいらっしゃるなら、テキストを一冊購入してみてください。
ここで、間違ってもTOEICや英検の勉強を始めてはいけません

USCMAは、テキストをじっくりと読み込んで理解する、そして付属の問題(多くは過去に出題された問題がテキストに載っています)を解く。というステップで進みます。
スクールでは、解き方のコツや問題文の読み方など、様々なアイデアを与えてはくれますが、いざ本番試験において英語の長文問題を目の前にして、それを解ききれるかというと、それはどれだけ多くの問題を実際に解いてきたか、にかかっています。

スクールに入学するよりもはるかに安く、テキストは購入できますので、英語の部分がどうしても不安だ、という方はぜひウェブページから購入して、その目で中身を確かめてみてください。

テキストの選び方については過去に私のブログで紹介しましたので
こちらをご覧ください。
http://everyday-friday-uscma.blogspot.jp/2016/02/blog-post_29.html

結果、スクールに通うから使わなくなった、でも良いのです。
どういう雰囲気の資格なのか、それはテキストを見れば実感できます。

最後に、合格までにかかる時間について。
私は①(簿記2級で英語は苦手ではない)でしたが、
ある程度残業がある社会人として、土日2-3時間ずつと平日夜の1時間程度を勉強に充てました。結果、1パート合格まで半年程度でした。パート2は一度不合格でしたので9カ月ほどかかりました。

参考にしていただければ幸いです。

2017年2月8日水曜日

USCMA(米国公認管理会計士)に求められる英語力は? Multiple Choice編

米国公認管理会計士は、その名前のとおり米国の資格であり、当然のことながら試験問題はすべて英語となっています。

では、この試験の合格に求められる英語力水準はどの程度なのか?

まず、リスニング試験があるわけではないため、リスニング力は全く求められません。
とはいえ、筆記試験だからReadingができればいい、という訳でもありません。

USCMAは100問のMultiple choiceと、大問2つのEssay問題とで構成されています
Multiple choiceは多肢選択型(4択)で、問題のレベルはピンキリです。つまり難易度の低い問題を的確に探し出して回答する、ということが必要になってきます。

点数は正解数に応じているため、難易度の高い問題に時間を費やすのは得策ではありません(つまりどの問題も配点は同じ)。その見極めをするために、英語力がある程度必要になります。

Multiple choiceは四つのタイプに分かれます。
①問題文が文章で、回答も文章
②問題文が文章で、回答が数字
③問題文が数字を含む文章で、回答が文章
④問題文が数字を含む文章で、回答が数字

このうち、②はほとんどありません。③も少ないです。
よって、①と④に対応できれば良いということになります。

まず①問題文が文章で、回答も文章。このタイプの問題の場合、”暗記もの”については英語力はそれほど必要ではありません。問題文もそれほど長くなく、回答も一言が多いので、途中まで問題分が読解できて、何となく意味が分かるレベルであれば、回答可能です。
私の感覚では、TOEICの筆記で300点以上あたりがボーダーかと思います。英検であれば2級くらいでしょうか。

一方①の中にも長文問題、長文回答、というタイプがあります。これは法制度を問う問題やプロセスを問う問題等、バラエティーに富んでいますが、覚えているだけでは回答できませんので、文章内の矛盾・間違えを消去法で消す力が必要です。
この問題タイプの場合は、まぎらわしい回答の中から最適なものを選び抜く力、が必要です。
私の感覚では、TOEICの筆記で350点以上あたりがボーダーかと思います。英検であれば2級から準1級でしょうか。

さて、次に④問題文が数字を含む文章で、回答が数字。。。。

みなさん、これがUSCMAの肝と言ってもいいでしょう。いわゆる計算問題です。
問題文の中に数多くの数字が登場し、その数字を適切に使って回答を導く、というもので、英語力もさることながら、数値計算力も求められます。ここで必要なのは、①と異なり、情報をいかに読み取るか、という英語力です。
文章の矛盾や間違えをくみ取る力ではありません。
手に入れた数字を、論理的に組み立てはじめたら、あとは計算力がモノをいう世界です。

以上、Multiple choiceはおおむねTOEICで350点以上の読解能力と、長文から情報を的確にとらえる英語力が必要と言えます。
私はTOEICの筆記が400点少々のところで受験しましたところ、英語がわからん、ということはほとんどありませんでした、どちらかというと、スピードが大切でしたね。

また、全体として単語力はそれほど必要ありません(英検に出てくる単語のような難易度の高い単語は出てきませんので、どちらかと言えばTOEICに近いです)。ただし、Finance関連の用語はテキストを読み込むなどして、押さえておきましょう。Finance用語がわからないと、そもそもスタートラインに立つことさえできません。

以上。
少し長くなってしまったので、Essay試験の英語力については次のパートでご紹介します。

FP&Aの仕事は忙しいのか(コントローラー編)

前回の投稿から大分時間が経ってしまいましたが、この間に世の中は大きく変わってしまいましたね。。。 今日はFP&Aの業務量について。 FP&Aという仕事は、以前は外資系にのみ存在する仕事というイメージがありましたが、NECや資生堂など著名な日本企業でも普及し始めたと...